MP3ファイルの音量を自動解析してボリュームレベルを均一化するソフトです。音質を劣化させることなく録音レベルの異なる音源の音量を揃えることができるので、プレイヤーでの再生中に曲やアルバムに合わせてボリュームを調整する手間が省けます。
ファイルまたはフォルダを登録すると自動的にレベルを分析し、「ゲインの変更」メニューで変更を適用します。分析結果をファイルとして保存したり、既存の分析結果を読み込むことができます。
曲(ファイル)単位で標準のボリュームに近づける「トラックゲインの適用」と、アルバム内での曲のバランスに配慮して調整を行う「アルバムゲインの適用」、元のファイルから一律に一定量だけ調整する「一定値ゲインの適用」の三つのコマンドがあります(そのほかに「最大化」もできますが、推奨されていません)。
http://mp3gain.sourceforge.net/
【主な機能】
●トラック分析
ファイルリストに登録したトラック(曲)の音量を分析して、曲ごとの音量や適用される調整量などの情報を表示します。
●アルバム分析
ファイルリスト全体を「アルバム」とみなして、各曲の音量差に配慮しながら適用量を調整します。
●トラックゲインの適用
トラック分析に基づいて、曲ごとに音量を調整します。
●アルバムゲインの適用
アルバム分析に基づいて、アルバム全体のバランスを考慮した調整を行います。
●一定値ゲインの適用
分析結果とは関係なく、一定の調整量を適用します。
●Undo Gain Changes
音量の変更を破棄して元に戻します。
●目標“標準”音量の設定
調整の基準となる音量を設定します。デフォルトは89.0dBです。

「MP3Gain」で処理したMP3ファイルには「Ape」タグが付加されるため、「foobar2000 ver0.8.3」等でID3タグを読み込むことが出来ない場合があります。
そのようなファイルは再度「MP3Gain」で開いて右クリック―「Remove Tags from files」でMP3ファイルから「Ape」タグを削除します。
「ID3タグ」には影響ありません。
「Ape」タグを付加させないためには、「オプション」―「Tags」―「Ignore(do notread or write tags)」にチェックを付けておきます。
しかし、「Ape」タグを削除したり、「Ignore(do notread or write tags)」にチェックを付けて音量を変更したものは、右クリックメニューの「Undo Gain changes」を使用することで「MP3Gain」で行った変更を元に戻す機能が使用出来なくなります。
これは「MP3Gain」で変更された値が「Ape」タグに保存されていて、それを参照して元の音量に戻すためです。
MP3ファイル、又はMP3ファイルが保存されたフォルダをドラッグアンドドロップで開きます。
又は、「ファイルの追加」「フォルダの追加」をクリックして、MP3ファイルを開きます。
音量の設定は「目標”標準”音量」に数値を入力します。
デフォルトでは「89」になっていますが、任意に設定して下さい。
「89」というのは様々なジャンルの、どのようなMP3ファイルでもクリッピングしないで有ろうと考えられた数値のようです。

「目標”標準”音量」を設定するには、現在の音量を知る必要が有るため「トラック分析」をクリックします。

「音量」 にそれぞれのMP3ファイルの現在の音量が表示されています。
「トラックゲイン」 の数値は「目標”標準”音量」に設定された音量にするために、変更される音量の数値です。
「無クリップ最大ゲイン」 はクリッピングしない程度の音量に変更できる、現在の音量との差の数値です。

「目標”標準”音量」の設定を大きくして、「トラックゲイン」が「無クリップ最大ゲイン」の値を超えると「クリップ」が「Yes」になります。
この表示は「目標”標準”音量」の数値を書き換えると、ダイレクトに結果が示されます。
下の例では二曲とも「トラックゲイン」の数値が「1.5」大きいので、「目標”標準”音量」を「91.5」にすることでクリップが無くなります。

「目標”標準”音量」を「91.5」にすると「クリップ(トラック)」の「Yes」が消えます。
これらの曲でクリッピングさせずに音量を揃える場合、音量の設定は「91.5」が限界であるといえます。
「MP3Gain」の音量は、それぞれのファイルの最大音量ではなく平均音量です。
同じ音量でもピークのレベルが異なるため、それぞれのファイルごとに、どの程度の音量でクリッピングするかは異なります。
ただし、音量を決める指標がクリップするかどうかだけで決める必要も無いと思います。
最近の音楽CD等のはほとんどがクリップしています。
その音量に慣れていると、クリップしない程度の音量は小さすぎると感じると思います。
クリップしてもある程度音量があった方が良いとする考え方もあると思います。
クリップも目安のひとつと考えてください。

「目標”標準”音量」が決まったら、ツールバーの「トラックゲイン」をクリックします。

ゲイン適用後です。概ね「91.5」前後に統一されています。
全てのファイルが「目標”標準”音量」と同一に成るわけでは有りません。

音量調節には「トラックゲイン」「アルバムゲイン」があります。
「トラックゲイン」は全てのファイルをほぼ同じレベルに揃えます。
「アルバムゲイン」はそれぞれのファイルの音量の差を維持して、音量を調節します。
「MP3Gain」の「ヘルプ」→「Overview」にその違いが図解されていますので、一覧してみてください。
「トラックゲイン」と「アルバムゲイン」の切り替えは、ツールボタンの右の「▼」をクリックしてメニューから選択します。

右クリックメニューの「Undo Gain changes」で、MP3Gainで行った変更を取り消して元に戻すことも出来ます。

クリッピングについて
MP3ファイルをWAVファイルに変換後、SoundEngineで開きました。
クリッピングとはSoundEngineで開いた場合に、一部でも波形が「0db」に達している状態をいいます。
このファイルでは赤丸印の部分が原因でクリッピングと判断されています。

同じMP3ファイルをMP3Gainで音量を多めに上げて極端なクリッピング状態にしたものです。

ファイルをMP3Gainで音量を下げてみます。
MP3Gainで音量を上げたものは、MP3Gainで音量を下げると波形がつぶれた部分も元に戻ります。

SoundEngine等の音声編集ソフトで音量を上げて波形をつぶすと音量を下げても、波形はつぶれたままです。
元のWAVファイルです。

SoundEngineで音量を上げました。

SoundEngineで音量を下げました。つぶれた波形はそのままです。
