音楽CDから音源を取り出す

「Exact Audio Copy」というフリーウェアがあり、昔から定番のソフトです。

インストールをして設定をしてあげると取り込んだ音楽データへ自動的にファイル名やタグを付加することができます。

Exact Audio Copy(以下EAC)は高機能なリッピングソフトである。このソフトを使用して、音楽CDからパソコンに音楽をリッピング(取り込む)ことができる。Exact(正確な)Audio(音楽の)Copy(コピー)という名前の通り、初期公開時から正確にCDからデータを取り込むことを意識していたソフトウェアである。このEACのインストール&日本語化手順を紹介したいと思う。

さかのぼると1998年頃から開発されていたソフトウェアで歴史はかなり長い。そして筆者(MUSIC PCの管理者でもある)は10年以上のユーザーになっており、現在も利用している。音楽CDを取り込む点に関しては昔も今も信頼して使用している。おそらく、それなりに詳しいパソコンユーザーであれば使用している方も多いと思われる。

正確に読み込めるというということで、多少傷ついたCDでも読み込めたり、2000年代に問題となったCCCD,LGCDを読み込めたり、話題になることもあった。もちろん、普通のCDでも読み取りミスをすることなく最善の方法でリッピングしてくれるので、安心できる。

PCオーディオが普及してきてからでもおすすめされるリッピングソフトに入っていることがある。EACを使っているからと言って音がよくなるわけではないが、少なくともCDのデジタルデータとしては1ビットの狂いもなくリッピングできる確率が高いからだろう。他のソフトのようにドライブのフルスピードで読み込む方法とは違い、ドライブにあった速度でデータの欠落がないように読み取ってくれる。

またEACを使用している理由として、cueファイル(キューファイル)+wav(ウェーブファイル)を生成できる点がある。これはCD全体をイメージとして取り込むため、曲間(秒数)の再現やプリギャップ(曲の始まる前の時間)の再現ができる。他のソフトウェアでは曲ごとに分割されることが多いし、曲間ももしかすると正確に取り込めていない可能性がある。音楽CDを完璧に取り込むという意味(cueシートのINDEX 00,INDEX01を含めて)でEACがベストであると言える。

まずはEACをダウンロードする。オフィシャルサイトのhttp://www.exactaudiocopy.org/にアクセスする。1.6


EAC日本語言語ファイル https://howto-it.com/wp-content/uploads/2016/03/EACJ_V10b3.zip


なお、EACメタデータプラグイン(インターネットから曲情報を取得する追加プラグイン)を使用する場合、別途、freedb Metadata PluginとGD3 metadata pluginの日本語化も必要である。標準のfreedbエンジンを使用する場合は特に必須ではないが、ロシア語表示が気になる方や、追加プラグインを使用したい方は日本語化しておくとよいだろう。

EAC freedb metadata plugin & GD3 metadata plugin 日本語化ファイル
https://howto-it.com/wp-content/uploads/2016/03/Japanese.zip


セットアップウィザードで難しいところ説明します。
MP3ファイルを作成する場合は、「MP3」を選択して「次へ(N) >」をクリック。


Lame.exeを検索します。すべてのドライブを検索するため時間が掛かりますが、検索させる場合はそのまま待ちます。(ここからダウンロードしたものはEACのフォルダに入ってます)
「キャンセル」をクリックして次へ進み、下図のダイアログで「参照」から設定しても良いです。


「エンコーダ:」にlame.exeが指定されていることを確認します。「参照…」で指定することもできます。
「ID3タグ(ID3V1.1とID3V2)を作成する」にチェックをして「次へ(N) >」をクリック。


@マークを使用して、メールアドレスらしき文字列を記入して「次へ(N) >」をクリック。


エンコード後のファイル名を設定します。
「¥」を使用することでアーティスト名などのフォルダを作成してその中に保存することもできます。
上図の例ではアーティスト名のフォルダの中にアルバム名のフォルダを作成し、その中にトラック番号を付加したファイル名で保存されます。


たとえ全ての機能が理解できなくても上級者を選択しましょう。

ウィザードによってEACの設定が取りあえず完了していますのですぐにでも音楽CDからMP3で取り込めます。

その他設定

「EAC」が起動したらエンコードのための設定をします。

メニューバーから「EAC」-「EACオプション」


「ディレクトリ」タブを開きます。

ここでエンコードされたファイルを保存する場所を設定します。
ここでは「E:」ドライブに「Music」というフォルダを作成して、そこを保存場所に指定しています。
「参照…」をクリックして、任意のフォルダを指定してください。

「毎回尋ねる」を選択するとその都度尋ねられますので、任意の場所を指定してください。


エラー回復品質を「高」にする。これでCD読み取りエラーが発生した場合、読み返す回数が多くなり、エラーが回復する確率が高くなる。


「EAC起動中はデータCD、音楽CDの自動再生を無効にする」にチェックを入れる。EAC起動中にほかのソフトウェアが立ち上がるのを防ぐ設定であるが、環境によっては動作しないこともあるのでご了承いただきたい。


「CUEシート作成時にUPC/ISRCコードを読み込み、CUEシートに加える」にチェックを入れる。CDに情報が含まれている場合はすべて抜き出したいのでチェックを入れておこう。


CD-Rに書き込む場合の設定であるが、ほとんどの場合、書き込むことはないと思うので気にしなくてよい。もしCD-TEXTを書き込む場合「書き込み時にすべての文字を大文字にする」にチェックが入っているとすべて大文字になってしまい、曲名等が実際の表記とは変わってしまう。これを防ぐためにチェックを外しておこう。


「ファイル名」タブを開きます。ここで保存されるファイル名の設定をします。

「D」 アーティスト名。  「C」 アルバム名。 「N」 トラックナンバー。 「T」曲名。

%D\%C\%N-%T   \アーティスト名\アルバム名\01-トラック名.mp3  (トラックナンバーと曲名の間に「-」)

%D\%C\%N %T  \アーティスト名\アルバム名\01 トラック名.mp3  (トラックナンバーと曲名の間に「スペース」)

%D\%C\%T     \アーティスト名\アルバム名\トラック名.mp3

「¥」を入れることで、アーティスト名等のフォルダが作られます。「スペース」「-」等もそのまま反映されます。

「%D\%C\%N %T」と設定すると、「2.」の「ディレクトリ」タブでの保存するディレクトリの設定と合わせて、「E:\Music\アーティス\アルバム\トラック番号 曲名」というフォルダ構造とファイル名で保存されます。


メニュバーから「EAC」-「エンコードオプション」
「外部エンコード」タブを開きます。


「エンコードに外部プログラムを使用する」にチェックを付けて下さい。
「エンコーダ別パラメータ」は「ユーザー定義のエンコーダ」を指定します。
「使用する拡張子」は「.mp3」とします。
「エンコードに使用するプログラムをパスを含めて指定」に「参照」を使って「LAME.EXE」を指定して下さい。
「LAME.EXE」はどこに有っても良いですが、EACと同じフォルダにコピーしておいたほうが判り易くて良いと思います。

「追加のコマンドラインオプション」は例えば、下記のように記述します。
%l-b 192%l%h-V 0%h %s %d

ウイザードでは可変ビットレートのみの組み合わせになっていますが、どのような組み合わせでもかまいません。

上記は一例です。他のコマンドラインオプションでも、後ろに「 %s %d 」を付加してください。 「 %s %d 」について。

「エンコードが終了したらWAVファイルを削除」のチェックは任意で。
「ID3タグを追加」にチェックを付けて下さい。作成されたMP3ファイルにタグ情報が付加されます。

「追加のコマンドラインオプション」では様々なコマンドラインオプションで音質を設定できます。
「追加のコマンドラインオプション」を使用すると、その下の「ビットレート」を指定してもコマンドラインオプションが優先されます。
その下の「高品質」「低品質」は二種類のコマンドラインオプションを書き込んで、ラジオボタンで選択するようになっています。

上図のように「%l-b 192%l%h-V 0%h %s %d 」と書き込んで「低品質」を選択すると、「%l 」「%l 」ではさまれた「-b 192」でエンコードされ、「高品質」を選択すると「%h」「%h」ではさまれた「-V 0」でエンコードされます。

「 -b 192 %s %d 」「 -V 0 %s %d 」のように、単独のコマンドラインオプションを指定することも出来ます。

「-b」は固定ビットレートを指定します。固定ビットレートの場合は「192」の部分を、次の数字の中から選択します。
数字が大きいほど高品質で、ファイルサイズが大きくなります。
「32 40 48 56 64 80 96 112 128 160 192 224 256 320」。

「-V」は可変ビットレートを指定します。可変ビットレートの場合は「 -V 0 」の数字の部分を「0~9」で指定します。
数字が小さいほど高品質で、ファイルサイズが大きくなります。
(「-V」の「V」は必ず「半角大文字」で記述します)

固定ビットレートは常に一定のビットレートで変換されますが、可変ビットレートは曲の中の情報量に応じて、部分ごとにビットレートを変化させていきます。

LAMEの可変ビットレートについてはこちらも参考にしてみてください。
LAMEの可変ビットレートをEncSpot?で解析

ビットレートとファイルサイズ

「 -b 192 -q 2 %s %d 」等と「-q 」を追加することで、エンコードの精度を指定することも出来ます。
数値は「0~9」の間で指定します。
数値の小さいほうが高品質ですが変換に時間が掛かります。

数値を指定しない場合はデフォルトで「-q 3」になります。


「エンコーダ別パラメータ」に「Lame MP3 Encoder」を指定した場合「追加のコマンドラインオプション」は空白にします。

「ビットレート」のプルダウンメニューからMP3ファイルの音質を設定します。

「高品質」「低品質」を選択します。
この選択は「追加のコマンドラインオプション」にオプションを記述して選択するのとは違って、プルダウンで選択したビットレートに対して変換の精度を指定します。


「高品質」は精度が高くなりますが変換に時間が掛かります。「-q 2」相当。


「低品質」は精度は劣りますが変換に掛かる時間は短縮できます。「-q 7」相当。


「ID3 タグ」タブを開きます。

上図のように三箇所にチェックをしておきます。

「ID3V2タグに xx/xx形式のトラックフォーマットを使用する」は好みで選択してください。
チェックをするとID3V2のトラックナンバーが、例にも有るように「トラックナンバー/トラック数」になります。(01/16、02/16等)
チェックオフでID3V2のトラックナンバーが「01、02」等となります。


メニューバーから「EAC」-「freedb / データベースオプション」


「freedb」タブを開きます。

「E-Mailアドレス」には最初の「セットアップウイザード」でアドレスを入力していると、それがここに反映されていると思います。
もし空白でしたら「@」の入ったメールアドレスらしき文字列を入力して下さい。

「Freedb サーバ」の欄には下記のように入力します。

http://freedbtest.dyndns.org:80/~cddb/cddb.cgi

これをコピー&ペーストしても良いですが、前後にスペースを入れないように注意して下さい。
EACにはデフォルトで複数のデータベースサーバが登録されていますが、日本語に対応していない為に日本語が文字化けします。
その為、日本語に対応している前記のサーバのアドレスを登録します。

もし「Freedb」でCD情報が取得できない場合は、「player」を使ってCD情報を取得することも出来ます。


メニューバーの「EAC」-「EACオプション」―「一般設定」タブを開いて。
「不明なCDが挿入されたとき」―「自動的にオンラインfreedbデータベースにアクセスする」
設定しておくと音楽CDを認識したらすぐに、データベースから情報を取得します。


リッピング&エンコード

EACが起動した状態で音楽CDをドライブに入れると上のように表示されると思います。
複数のCDドライブが接続されている場合は音楽CDを入れたドライブが選択されているか、表示を確認して下さい。

トラックが正常に表示されなかったり、余計なファイルが表示される場合には、
旧バージョンでメニューバーの「アクション(A)」―「TOC修正(A)」―「元のTOCに戻す(N)」等を試してみてください。(旧バージョン)


ここでCDのデザインのツールボタンを押すか、メニューバーの「データベース(D)」-「CD情報取得(G)」-「freedb (R)」を選択すると
「freedb」に接続してCD情報を取得します。

事前に設定しておくことで、音楽CDを認識すると自動的に「freedb」に接続するようにも出来ます。


確認のダイアログが出たら「はい(Y)」をクリックします。 データベースにアクセスしてCD情報を取得します。


するとこのようにデータベースに情報があると取得されて、日本語でも表示されます。
もし日本語の情報が無い場合には、日本語の部分が????になる場合も有ります。

「CDタイトル」「CDアーティスト」はドラッグで選択できますので、そのまま編集してください。
曲の「タイトル」を手動で書き換えるには、「タイトル」をクリックで選択して「F2」を押すか、3回続けてクリックしてください。

「freedb」で曲情報が取得できない場合、「Player」という音楽CD再生ソフトのデータベースを利用することも出来ます。
「Player」を使ってCDDBの情報を取得を参考にして下さい。


曲情報がきちんと入力されたら、左のツールボタンの「MP3」をクリックします。

音楽CDを作成する等の目的で「WAVファイル」で取り込むには「WAV」をクリックします。


まず、音楽CDからWAVEファイルにリッピングされます。
一曲がリッピングされると、次にそれが「LAME」等のエンコーダに渡されてMP3にエンコードされます。
つまり、音楽CDからMP3に変換するには「.cda→.wav→.mp3」という手順を踏んでいるわけです。
もし「EAC」が最大化されていたりすると、一曲めのリッピングが終了して「EAC」が止まったように思うかもしれません。そのときは下のタスクバーを見てください。
LAMEで変換するように設定している場合は、下のように「LAME」が起動しているのが確認できると思います。


ご覧のように「LAME」は最近の一般的なアプリケーションのように、GUI(Graphical User Interface)ではなく、CUI(Character User Interface)で動作するアプリケーションです。

この画面で「LAME」がエンコードをしているのが確認できます。
このように「EAC」と「LAME」が一曲ずつ交互に「リッピング」と「エンコード」を繰り返していきます。


音楽CD作成

Exact Audio Copyが起動したら、メニューバーの「ツール(T)」―「CD-R書き込み(W)」をクリックします。


「CDレイアウトエディタ」が起動したら、WAVEファイルをドラッグアンドドロップで登録します。
曲順を変更するには「トラック2」等、タイトル部分をクリックして選択してから、右の「▲」「▼」等で移動させます。
「グラフィカルCDレイアウト」のバーで、合計の時間を確認しながら登録します。


メニューバーの「レイアウト(L)」―「ファイル追加時に2秒のギャップを追加する(A)」にチェックが付いていると、それぞれのトラックの後部に2秒の無音(ポストギャップ)が挿入されます。

ギャップレスの音楽CDを作成する場合は、必ず上記のチェックは外しておきます。

ファイルを削除するには選択してメニューバーの「レイアウト(L)」―「選択したインデックスを削除(N)」。


ファイルが登録できたら、メニューバーの「CD-R(C)」―「CD書き込み(W)」をクリックします。


「書き込み速度」は遅いほうが書き込み品質は良いといわれていましたが、最近の環境では必ずしもそうでは無いようです。
とりあえずメディアの最高速で書き込んでみてください。
「CDを閉じる」が選択されていることを確認して下さい。
良ければ「開始」をクリックします。


同じCDをもう一枚作る予定が無ければ、保存せずに閉じてください。

音楽CDのコピー

Windows Vistaで「ユーザーアカウント制御(UAC)」が有効になっていると、CD-Rへの書き込みの際にエラーが出て書き込みできない場合があります。

EACを起動して音楽CD をCDドライブに入れます。

トラックが正常に表示されなかったり、余計なファイルが表示される場合には、
旧バージョンでメニューバーの「アクション(A)」―「TOC修正(A)」―「元のTOCに戻す(N)」等を試してみてください。(v0.95 pb 5)


メニューバーの「アクション(A)」―「CDイメージをコピーしCUEシートを作成(I)」―「無圧縮… Alt+F7」を選択します。
又は、サイドツールボタンの「IMG」をクリックします。


保存のウインドウが出たら、「ファイル名」と、保存する場所を指定して「保存(S)」をクリックします。
ファイル名の拡張子は自動的に付けられますので、特に必要はありません。

「ファイル名(N):」の欄を空白にすると「アーティスト名 – タイトル名」のファイル名が付けられますが、それでも構いません。


イメージファイルの取り込みが終了すると、このような二つのファイルが出来ます。
「.wav」が音楽データのイメージファイルで、CD全体をひとつのWAVファイル(44.1KHz, 16bit, 2ch, 1411Kbps)にしたものです。
「.cue」は再生時間等のトラック情報が書かれた、キューシートです。メモ帳にドラッグアンドドロップして開くことができます。


続けてCD-Rに書き込みます。
ブランクCD-Rをドライブに入れて、メニューバーの「ツール(T)」―「CD-R書き込み(W)」を選択します。


「CDレイアウトエディタ」が起動したらメニューバーの「ファイル(F)」―「CUE シート読み込み(L)」を選択します。


先ほど作ったファイルの中の「.cue」を選択して、「開く(O)」をクリックします。


CDレイアウトエディタに読み込まれて、元の音楽CDと同じようにトラックが表示されていると思います。


CDレイアウトエディタのメニューバーから「CD-R(C)」―「CD書き込み(W)」を選択します。


書き込み速度は最高速でも構わないと思いますが、焼かれたCDに問題があるようなら速度を落としてください。

「クローズモード:」は「CDを閉じる」を選択します。

「開始」をクリックします。


「書き込み正常終了」と出たら完了です。

書き込みが終了したCD-Rをドライブに入れると、元の音楽CDと同じように表示されていると思います。
先ほど作成したイメージファイル等は削除して構いません。

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